B&B ITALIAに倣う、グローバルブランドの育て方。

洗練されスタイリッシュなイメージを与えるイタリアンモダンスタイルのファニチャーブランド「B&B Italia」。日本でも青山などにショールームを構える同社の店舗と認定販売拠点は世界 80か国、800カ所を数える。1966年の創設以来、“Made in Italy”のブランドを世界に発信し続けるB&B Italiaの軌跡からグローバルブランドづくりのエッセンスを学びたい。

技術革新による課題の解決

 B&B Italia創設者のピエロ・アンブロジオ・ブスネリ氏の出発点は、新たな技術による課題の解決だった。既存のコストと時間のかかる従来のイタリアの家具製法に疑問を持ち、新素材ウレタンを使った「低温発泡モールドウレタンの一体成型」という製造技術を考案。多くの経営者たちに投資を依頼する中、出会ったのが高級家具ブランド「Cassina」の創設者の一人として知られるカッシーナ氏だったという。
 1966年、ブスネリ氏はカッシーナ氏と共同で、B&B Italiaの前身となる「C&B」社を創設。新たなプロダクトは瞬く間に世界中の注目を集め、C&B社の業績は急成長した。1973年にはカッシーナから独立を果たし、「B&B Italia」として新たなスタートを切っている。

研究開発への投資を継続

企業が進化を続けていく上で命題となるのは、品質管理と新たな商品の開発が挙げられるだろう。B&B Italiaも品質管理や素材選び、技術革新研究に特に力を入れてきたブランドの一つだ。社内に製品開発室、ショールーム機能を備えた研究開発センター「CR&S」を設置するほか、デザイン・製造・販売の全工程で徹底した品質管理を行っている。商品開発では長年蓄積したアーカイブや資料、トレーニングプログラムを提供し、デザイナーが創造性を最大限に発揮できる環境づくりもアップデートを繰り返している。企業からクリエイティビティへ積極的な働きかけを行い、新たなデザイン・素材の創出を目指していく狙いだ。
 近年では、エコやサスティナブルの要素も積極的に取り入れ、時代に対応したトップブランドとしての存在感を強めているところ。研究開発への投資額は、年間売上高の3%以上にもなるという。技術の探究や機能性、クリエイティビティの向上を目指すこうした姿勢は創業当初から広く認められており、1989年にはイタリアのデザイン賞「コンパッソ・ドーロ」を企業として初めて授与されている。

経験と研究で変化に応える

 B&B Italiaが一般消費者を対象とするホーム事業部で展開するブランドは、「B&B Italia」「MAXALTO」の2系統から形成されている。素材やデザインなど方向性やテイストは違うものの、プロダクトの80%は輸出向けと、いずれも世界での評価は高い。研究開発への投資で高い製造テクノロジーや品質管理を維持し、デザイナーとノウハウやアーカイブを共有、国際シーンで卓越すべきものは何かを追求しモノづくりを行っている点はブランドの本質でもある。その積み重ねでライフスタイルの変化やニーズに応えてきたのが同ブランドの特徴でもあるのだ。これこそB&B Italiaがグローバル化を果たした背景ではないだろうか。その歴史の裏側には、我々消費者の目には映らない多くの試行錯誤と熱意が秘められている。

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