
明るく飾らない美しさで多くの人々から支持を集め、俳優として幅広く活躍している中村アンさん。2024年も、ドラマ「青島くんはいじわる」でのW主演や、大人気作「グランメゾン東京」の続編など、着実に俳優としてのキャリアを重ねてきた。30代半ばを迎え、時代の変化に柔軟に対応しつつも、自分らしさを保ちながら輝き続ける秘訣とは-−。
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ひたすら駆け上がる20代も楽しかったですが、
悩みながらも自分で決められるようになった30代の方がもっと楽しい
――2019年に放送された日曜劇場「グランメゾン東京」は大ヒットしましたが、続編が決まった時の心境はいかがでしたか?
私も含め、共演者全員大喜びでした。「グランメゾン東京」はストーリーの面白さもさることながら、撮影現場でもチームの団結力が強くて、ずっと「続編があったらいいね」と話していたんです。コロナもあったので本当に実現するのかどうかは分からないままでしたが、正式に決まった時は本当に嬉しかったです。
「グランメゾン東京」は、私のお芝居に対する考え方を大きく変えてくれた作品でした。お芝居は、相手と向き合いながら作り出していくもの。キャラクターの感情を自分の中で追体験して、それを表現することができるようになり、お芝居がぐっと楽しくなりました。思うようにできず悔しい思いをしたり、共演者に助けてもらったりと、いろいろな刺激を受けて大きく成長できた作品だと実感しています。
――今作の見どころについても教えてください。
実際の社会でも多くの飲食店がコロナの影響で閉店を余儀なくされましたが、作品でもその現実が反映されていて、私自身驚きました。ドラマシリーズではグランメゾン東京が三つ星を獲得して物語が終わりましたが、その後コロナの影響を受けたグランメゾン東京がどうなっていくのか? もう一度星を取り戻せるのか? そんなところに注目していただきたいです。
「グランメゾン東京」は、食を通して「諦めない心」を伝える作品です。飲食業界に限らず、仕事を進める中でチームの気持ちがバラバラになることはあると思いますが、そんな時に心に響くメッセージが込められているのではないかと思います。今回も美味しそうな料理がたくさん出てくるので、ぜひ楽しみにしていてください。
――長年芸能界の第一線で活躍されていますが、これまでのお仕事を振り返ってみて、どんなキャリアだったと感じていらっしゃいますか?
20代の頃は、自分をつくり上げることに必死でした。自分がどんな人間なのか、何が好きなのかもよく分からないまま、ただ走り続けていたと思います。そして30代になり、役作りのために髪を切ったことがきっかけで、「お芝居の道に進もう」と自分の意志で歩けるようになりました。
また10年前と比べると時代も大きく変わりましたよね。SNSが普及したことで、受け身でいるだけでは何も変わらない時代になったように感じます。これまでのお仕事で知ってもらっている部分だけでなく、自分をアピールする必要があると思っています。決断して一歩踏み出すには勇気も要りますが、時代の流れに沿って自分をつくりあげていくことも楽しい。それがモチベーションの一つにもなっていますね。
――ここまで活動してきた中で、ご自身の軸となっているものは何でしょうか?
「スポ根魂」ですね(笑)。私は高校・大学でチアリーディングをやっていたのですが、日本一を目指す強豪校にいました。15歳の何もできない初心者だった私も、強いチームに加わることで日本一を目指す集団の一員になり、もがきながらも必死に向き合うことで成長ができたんです。環境や所属する場所次第で人は大きく変わるんだ、ということを知ることができました。その姿勢は今の仕事に対しても変わっていません。第一線で活躍されている方々の中で仕事をして、常に色々な刺激を貰いながら、簡単に自分に満足することなく頑張り続けられるようになったと思っています。
――中村アンさんといえば自然体な美しさが人気の秘訣ですが、ご自身が理想とする”美しい人“とは、どういう人ですか?
難しいですね。誰一人として同じ人はいないので、「これが美しい」と一言ではなかなか言えませんが、やはりひたむきに頑張っている人は美しいと感じます。悩んだり考えたりすることは決して悪いことじゃなくて、むしろそれがないとずっと同じ自分でいることになってしまうと思います。年を重ねるごとに、試練や変化があると思いますが、そこから逃げずに向き合えば、前よりも素敵な自分になれるはず。誰にでも波はあるけれど、それでも前向きに頑張り続ける人は美しいし、かっこいいですよね。
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――最後に、夢に向かって頑張っている方や若い世代に向けたメッセージをお願いできますでしょうか。
迷っていることがあるなら、ぜひやってみてください。怖くても「えい!」と飛び込んで、体験してみることをおすすめします。私自身、進路に悩んで就活セミナーなどに足を運んだこともありましたが、最終的に自分の決断で今の仕事を選びました。自分で決めると、簡単にはやめられなくなるんです。逆に、誰かに決められてしまうと、やめたくなってしまいますよね? 迷うということは「気になっている」という証。行きたいところに行く、見たいものを見る、気になる人に話しかける、何でも良いと思います。なるべく早いうちに、どんどん挑戦してみるべきです。もしダメだったら、次に進めばいいんですから。

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■告知情報
スペシャルドラマ『グランメゾン東京』12月29日(日)よる9時から放送
2019年に大ヒットした『グランメゾン東京』が、待望のスペシャルドラマとして帰ってくる! ストーリーは、レストラン「グランメゾン東京」が三つ星を獲得した後の物語です。コロナ禍で存続の危機に直面し、すべての星を失ってしまった「グランメゾン東京」。はたして、もう一度立ち上がることができるのか? 映画『グランメゾン・パリ』も12月30日(月)に公開予定。
俳優
中村 アン
Anne Nakamura
東京都出身。女優としてドラマや映画など多くの話題作に出演。男女問わず幅広い世代からの支持を集めている。2022年のTBS「DCU~手錠を持ったダイバー~」では第4回アジアコンテンツアワードの助演女優賞にノミネートされるなど、その演技力が日本国外からも評価されている。 W主演を務めた7月期ドラマ「青島くんはいじわる」では、総再生回数2,000万回を突破するなど話題に!!
※本稿は2024年12月掲載時点の情報となります。