2025-5-31
2024年末に開催された第10回「ANACレシピコンテスト」より
ANAの機内食が愛される所以。
ANAレシピコンテスト最終選考および授賞式より。
機内食の更なる進化と美味を追求し続けるために
ANACの調理部門を主とする社員たちが毎年その腕を競い合う「ANACレシピコンテスト」は、書類審査を経た7月下旬に各部門6名のファイナリストを決定し、約4カ月の準備期間を経て最終選考が開かれる。今回、筆者が足を運んだのは12月18日に行われた洋食部門と製パン部門の最終選考会。審査員が味や独創性、見栄えなど5つの観点からテーマを基に作られた料理を吟味し、その合計点が最も高い一品が最優秀賞を受賞するという流れだ。
洋食部門のテーマは『ファーストクラス向けの温かい魚料理』。審査に先立ち、洋食部門に出品された6品は、偶然にも種類が異なる魚を用いた料理が揃った。日本の伝統的な調味料「煎り酒」をベースにフレンチに昇華した真鯛のポワレや、イタリア・シチリア州の郷土料理「ベッカフィーコ」に日本の伝統食材「ハモ」を使用し日本風にアレンジした料理など、独創性豊かな渾身の一品が並ぶ。
そして洋食部門で栄えある最優秀賞を受賞したのは、審査員から見た目や香り、味のバランスが絶賛された「スコットランド産サーモン、天使海老とホタテ貝のバロンティーヌ マスタード風味のエマルジョンソース」。食堂事業課(FCCJ※勤務)坂本浩一さんによる一品だ。「今回の受賞を糧にFCCJをさらに盛り上げていきたい」と、受賞の喜びとともに今後の展望も語っている。
審査に先立ち、調理を行う社員の様子。
食で顧客に感動を送り届けるための挑戦と研鑽
製パン部門のテーマとなったのは、バターと卵を配合したフランス発祥の菓子パンの一種「ブリオッシュ」だ。ANACペストリー部の相田紀昭部長は「バターとミルクの香り、食材が一体となって食感や後味をどう構成するか。最新の技法を使っているものもあるのでその辺りも見ていただけたら」とコメント。
ブリオッシュ本来の特性を活かしつつ、アールグレイのクリームと相性の良いオレンジピールとドライアプリコットを生地に混ぜ込んだ一品など、機内食とは思えない完成度の高いブリオッシュが揃い踏みした。
製パン部門で最優秀賞を獲得したのは、「米粉を入れたカリっとした食感が良い」「塩味のアクセントと生地のしっとり感が素晴らしい」と賞賛された「塩バターブリオッシュ~あんとマスカルポーネをサンド~」。羽田ペストリー部に所属する山内都子さんが丹精を込めて作ったパンだ。
「今回も美味しいパンがたくさんあり受賞できると思っていなかったのですごく驚いた」と語る山内さんは、二度目の挑戦にして初の最優秀賞受賞となっている。
最終選考を終えたANACの西嶋直子代表取締役社長は、「このチャレンジングな組織風土を大切にすることが今後の機内食の更なる発展に繋がっていくと考えております。お客様の笑顔に向け、これからもさらに品質向上に努め、皆で力を合わせて前に向かっていきたい」と力強くコメントを残し、全出場者を讃えた。
この日、最優秀賞に輝いた料理は2026年度以降、ラウンジメニューや機内食として提供される予定とのこと。日々試行錯誤を重ね生み出された珠玉の料理を堪能できる日を心待ちにするとともに、こうした取り組みの中で各人が切磋琢磨することで、ANAの機内食が日々進化しているのだという事実も特筆すべき点だろう。ANAの機内食が愛される所以は、これらの競争と共闘の中に潜んでいるのだ。
洋食部門の最優秀賞「スコットランド産サーモン、天使海老とホタテ貝のバロンティーヌ マスタード風味のエマルジョンソース」。
製パン部門の最優秀賞「塩バターブリオッシュ~あんとマスカルポーネをサンド~」。