つづきレディスクリニック

働く女性が生き生きと輝くために

ホルモンバランスの乱れや月経痛、生理不順、女性にとってこれらの悩みは尽きることがない。フェムテックに注目が集まる今、現場レベルでの理解は進んでいるのだろうか。Z世代代表としてモデル・タレントとして活躍する藤田みりあさんと、つづきレディスクリニックの吉岡範人氏に話を伺った。

01 子宮頸がん、ワクチン、生理痛の正しい理解を推し進め、女性が働きやすい社会を

―――藤田さんは現在25歳の「Z世代」ということで、Z世代の女性たちは医療や企業にどのようなことを求めているのでしょうか。

藤田:就職活動をしている20代前後のZ世代の女性は、育休取得率やキャリアアップ環境、女性特有の悩みや病気にどれほど会社の理解があるかを重視する傾向にあります。私も一度一般企業に就職した経験があるのですが、フェムテックが就活の軸の一つになっていました。しかし実際に一般企業で働いてみて、やはりまだ理解が進んでいないと感じることもありましたね。

吉岡:私も経営者層に生理痛や女性の病気についてのセミナーを行う機会があるのですが、やはりまだ理解が浸透していないと感じることが多々あります。経済産業省のデータによると、女性特有の病気や悩みを改善することができれば、年間で5000億円もの経済的効果が見込めるとも言われているのです。「こういう制度をつくらなければならない」「理解しなければならない」という伝え方だと、どうしてもやらされている感が出てしまう。「理解を進めることで会社成長にも繋がる」、「長い目で見ると優秀な女性社員の活躍の場を広げることができ、結果としてそれが会社の利益にも繋がる」といった側面からのアプローチをしていきたいですね。

―――40代以降の人に比べ、Z世代はフェムテックに関する関心は高いと感じますか?

藤田:私たちZ世代は情報のキャッチアップが得意な世代だと思います。子宮頸がんに対する危機意識や卵子凍結への興味、生理痛への理解度も比較的高いのではないでしょうか。しかし一方で、情報が溢れすぎており、どれが正しい情報で間違っている情報なのか見極める必要性も感じています。

吉岡:まさにZ世代は情報収集を得意とする世代ですよね。しかし医師としては、その情報が本当に正しいのかということが気になるところです。たとえば現在、「卵子凍結」のワードが頻繁に取り上げられていますが、医師としては過熱しすぎていると感じています。それよりも、毎年きちんと子宮頸がんの検診を受ける、生理不順や不正出血が起こったらまずは病院で診てもらうなど、身近な医療を活用してほしいです。情報が溢れているからこそリテラシーをしっかりと持ち、インフルエンサーではなく専門家の医師の声にも耳を傾けてほしいと思っています。

02 情報が溢れている時代だからこそリテラシーを高め、専門家医の意見を取り入れてほしい

―――ほかにも、Z世代から会社や医師に求めること、また医師からZ世代に求めることはありますか?

吉岡:子宮頸がんは、25歳~35歳がピークだと言われています。定期健診もワクチン接種もどちらも重要です。日本は子宮頸がん検診の受診率が低く、若くして亡くなってしまった患者様を何度も目の当たりにしてきました。まずは年一回のがん検診とワクチン接種は必ず行っていただきたいですね。そして医師としても、藤田さんのようなZ世代の方とコラボレーションして、がん検診やワクチン接種の大切さを若年層に広めていきたいと思っています。

藤田:私も毎年かかりつけ医のもとで検診を受けていますが、引き続き継続するとともに、周囲の女性にも大切さを伝えていけたらと思います!まだまだ企業内では生理休暇の取りづらさや、女性特有の病気の理解が進んでいないと感じることがあるため、クリニックも含めて生理休暇を取りやすい環境や、休暇を取りやすい環境があるといいなと感じます。吉岡先生のように、親世代や経営者層に発信してくださる医師がいると心強いです。

吉岡:私のクリニックで掲げる診療コンセプトは「産婦人科の医療×プラスα」です。あらゆる世代の女性に対して独自性に富んだ婦人科専門医としての診療やサポートを積極的に行ってきました。通常の医療であれば、『ここで終わり』 となるところを、 医療の範囲を超えて思考を巡らせることで、産婦人科の医療×プラスαのものと掛け合わせた新しい切り口が見えてくると思っているからです。フェムテックを提供する側、それを受ける側、そして私たち医師が医療を活用しながら積極的に関わることで、日本の土壌に合ったフェムテックを確立していけたらいいですね。

―――最後に、吉岡先生の今後の展望をお聞かせください。

今後も、若い世代の方から、経営者層の方、親世代の方それぞれに、正しい産婦人科の知識や理解を広めていきたいと考えています。また私個人としては、ビル一棟を買い取り、産婦人科や美容皮膚科、医療脱毛、エステやコスメを一カ所ですべて体験できる施設をつくりたいという夢があります。「正しい医療の知識と技術」をベースに、女性が安心してあらゆる施術を受けられる。そんな夢のような空間をつくりたいです。

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理事長    タレント・モデル

吉岡範人: 1978年生まれ千葉県出身。聖マリアンナ医科大学にて婦人科腫瘍を専門とする。2003年に卒業後、同大学の初期臨床研修センターに配属。一般産婦人科に加え救命救急、内科、外科、小児科を学ぶ。2013年にはカナダ・ブリティッシュコロンビア大学への留学を経験。2019年つづきレディスクリニック理事長に就任。
藤田みりあ: 1998年大阪生まれ。明治学院大学社会学部卒。ミス明治学院コンテストグランプリに選ばれる。ダンスボーカルグループの元メンバーで現在はYouTubeチャンネルを開設し、若い女性からの注目を集めている。CanCam it girlとしても活躍し、最新ファッションや話題のコスメ、ダイエットやグルメ情報についてリアルな目線で紹介している。

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