株式会社ネクスクール

「興味」に火を灯し、「個性」を育てる。

株式会社ネクスクールは、教育・福祉事業を中心に、放課後等デイサービスやオンラインサロンなどを運営しています。発達障がいやハンディキャップを抱える子どもたちの苦手をサポートするとともに、「興味」や「得意」を引き出し、社会で生き抜く力を育むことが私達の基本理念です。

01 「好き」を伸ばして、自立の一歩へ

――――教育・福祉分野で起業を志された経緯をお聞かせください。

両親が小学校の教員で、母は支援学級の担任だったため、幼少期から学校や障がいのある人たちと接する機会が多くありました。起業を志した決定的なきっかけは、アメリカ留学を経て、日本の学校教育に違和感を覚えたことです。日本の教育は、いまだに「みんな一緒」を重視し、全体の平均点を上げることに重点を置いていると思います。しかし、発達障がいを持つ子どもたちにとって、突出した部分を隠し、「平均的」であることを強いられる環境はとても窮屈です。「苦手を克服しつつも、得意をしっかりと伸ばす」。そんな教育環境を提供したいという思いで株式会社ネクスクールを立ち上げました。

――――発達障がい児支援に着目された理由は何ですか?

あくまで私の感覚ですが、自立生活が困難な人達へのサポートは、すでにある程度整っていると思います。グループホームや就労支援、生活介護などがその一例です。しかし、能力は一般的だけれど、コミュニケーション能力に課題がある発達障がい児は、支援学校に行くと「できる子」扱いされてサポートが手薄になり、通常学級に行くと「落ちこぼれ」扱いされるため、非常に持て余される存在になっています。特に発達障がいの確定診断を受けていないグレーゾーンの人たちは、障がい者雇用の枠に入らないため、ゆくゆくは一般社会で戦わなければなりません。だからこそ、学生のうちに自立訓練をし、社会で通用する能力や個性を伸ばす場が必要だと考えました。

02

――――子どもたちに接する上で、どのようなことを意識されていますか?

危険なことや人の迷惑につながること以外は、なるべくストップをかけないようにしています。「これなんだろう?」「これやってみたい!」という好奇心を尊重することで、1人ひとりの個性や才能の芽を大切に育てたいからです。日々の流れで言うと、まずは宿題などのタスクをしっかりこなしてもらい、その後は自由時間です。iPadやプロジェクターなどのデジタル機器も積極的に活用しながら、描いた絵をTシャツにプリントしたり、コンピュータに興味がある子には古いパソコンを分解してもらったり。子どもたちの興味に火を灯せるアイテムや、思いきり没頭できる空間の提供に努めています。

――――「見守る」ことを特に大切にされていると伺いました。

私達は「障がい」と聞くとつい声を掛けてしまいがちですが、ハンディキャップがあるからといって、大人がむやみに声掛けをしてしまうと、子どもたちは「黙っていてもなんとかなる」と思い込んでしまいます。しかし、困ったときに自分から声を上げて助けを求められるようになることは、自立という点で非常に重要だと私は考えています。優しい環境を作ることも大切ですが、「助けてもらって当たり前」の意識で社会に出て辛い思いをするのは本人たちです。だからこそ、子どものうちに「自ら声を上げる」という意識のアップデートを図っています。

――――今後、子どもたちをどのように導いていこうとお考えですか?

とにかく好きなことを伸ばしてあげたいと思っています。「意味がない」「お金にならない」なんてことは考えずに、無我夢中で何かに没頭してほしいですね。昔は、絵が好きな人は画家になるしか選択肢がない時代もありました。しかし今は、SNSやNFTなど、マネタイズの可能性が次々と生まれています。何が実を結ぶのか、誰にも未来が予測できないからこそ、好きなことを続けておくことが重要なんです。そう考えると、「興味」を実行に移すことが自立の一歩だとも言えますし、そのサポートをしてあげることが大人の役割ではないかと思います。障がいの有無にかかわらず、すべての子どもたちが「好き」を軸に個性を活かし、活躍できる未来をともに築いていきたいですね。

株式会社ネクスクール

代表取締役

大学3年生のとき、大学発ベンチャー企業で副社長に就任し、子ども向けイベントの企画を担当。その後、大学4年生で株式会社ネクスクールを創業。翌年4月には「放課後等デイサービス ウィズ・ユー新越谷」を開設し、現在も教育・福祉事業を中心に事業を拡大している。

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